FODオリジナルドラマ「『I am…』23歳たち」オープニング映像の音楽を担当しました。
ドラマは気鋭の監督たちの人生の岐路に立った23歳たちの素敵なオムニバスドラマ。音楽は陽だまりの満ちた音楽室でアフリカ人が弾くピアノみたいなイメージとテープレーコーダーで日常をラフに録音したようなフィールドレコーディングを合わせた音楽に仕上げてます。
自分とは何者なのか、自分らしくとは。
人生のさまざまな物事に対して感じたり、考えたり、選択したり、表現したりしていくうちにいつの間にか自分はかたちつくられています。
食器や服、音楽、画集など自分がときめいた物だけを選別して並べて観察してみると
自分がどういったものに心を動かされているのか、影響されてきたのか、何故これを選んだのかということから自分自身を再認識し、同時にそこから自分を形成してくれたこの世界とのつながりも感じます。
僕は、極私的なメモをとっています。そこには日常の出来事以外にも、散歩中に気になった植物や、ふと幸せを感じた些細なことや、いいなと思った友達の言葉や、好きだと思った色や匂いや風景など、とにかく感じたことを文や絵や詩にしたりしています。
そうするといつもより、ものの見え方が感覚的になって、例えばいつも記号のようにひとくくりに見てしまっていた道端のタンポポたちがそれぞれ全然違う黄色い花をつけた名も無き可愛い植物たちに見えてきます。
その感覚になると路上の汗だくのおじさんがたすき掛けしているショルダーバッグの帯の短さにも、とてつもない美しいドラマを感じたりして、なんだか自分の人生がとても映画的で豊かなものに感じることがあります。
その感覚はたまに調子がいい時だけなので「感じる」ということは表現することと同じくらい難しいし、本当に大事なことだなあとそういった時に痛感させられます。
オープニングはそんな誰かの極私的なメモを垣間見たようなイメージでコンテも描かずに作業したその日の気の向くままにアニメーションを描きました。
監督・アニメーション:鎌谷聡次郎
こちらで視聴できます。